調停調書とは

調停調書とは離婚調停や養育費調停などの家事調停はもちろん、不倫慰謝料請求調停などの民事調停で、当事者が合意した場合に作成される合意文書のことです。

この調停調書のいいところですが、判決や公正証書と同じで、調停調書に記載されている金銭的な取り決めを守らなかった場合には、強制執行手続きを取ることができる債務名義という特別な書類だということです。

ただし、違約金や損害金など、養育費や慰謝料など違いはっきりと支払うかどうかが確定していないものに関しては強制執行をすることはできません。これは公正証書でも同じです。

当事者が調停で合意した場合には、調停調書の原案が作成され、それを見せてもらえOKすれば作成してくれます。

通常であれば、専門家に頼んで離婚協議書などを作成してもらえば問題はないのですが、素人だけでこういう文書を作成するのは怪しいものがあります。ですが、調停調書は、自動的に裁判所が文書を作成してくれるので作成する手間もありませんし、安心です。

ちなみに、調停が不成立になった場合は、もちろん調停調書は作成されません。

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調停調書のメリット

調停調書メリットといえば、なんといっても強制執行手続きを取ることができる債務名義という書類だという点です。もちろん、上記に挙げたように、裁判所が作成してくれるので、安心で確実という点です。

他にも、履行勧告履行命令という制度が利用できます。
この2つの制度ですが、公正証書にはないすばらしい制度です。

といっても、強制的に従わせれるわけではないので、あくまで補助的な制度です。

履行勧告とは

履行勧告とは、調停や審判で決まったことが守られない場合に、その調停をした家庭裁判所に申し立てることにより、家庭裁判所が電話等で「決まったことを守りなさい」と勧告してくれる制度です。

履行勧告の申し立てといえば大げさに感じるかもしれませんが、家庭裁判所によっては電話で受け付けてくれるところもありますので、一度確認してみてください。

この履行勧告の制度は、公正証書にはありません。つまり、公正証書の場合には、作成した公証役場から「決まったことを守りなさい」とは言ってくれないということです。

こういう点では、調停調書は公正証書より優れています。

この履行勧告の制度は、強制執行と違うので、金銭的なもの以外でも利用できます。たとえば、決まった面接交渉を履行してくれない時などは、「子供に会わせてあげなさい」と言ってくれるわけです。こういう点でも優れています。

ただし、あくまで勧告ですので、したがわなかったとしても何のペナルティーもありません。とはいえ、裁判所から言われるので心理的なプレッシャーは与えることができます。

仮に調停調書に記載されている金銭的なものを滞納された場合でも、簡単で効果的な履行勧告をまずはしてみてください。ちなみに、履行勧告には費用はかかりません。

履行命令とは

履行命令とは、履行勧告と同じで調停調書や審判書ができた家庭裁判所に申し立てをして、「決まったことを守りなさい」と命令してもらう手続きのことをいいます。

もし、この履行命令に従わなかった場合には、10万円以下の過料を取られる場合があります。なので、一見履行命令はすばらしい制度のような気がします。

ですが、過料が申立人の手元に入ってくるわけではありません。
金銭的なものの場合であれば、もともとお金がないからこそ滞納しているというのが多いわけです。なので、過料なんか取られたらますますお金がなくなってしまうわけです。

ということで、金銭的なものの場合は、履行命令はあまり使える制度ではありません。
とはいえ、金銭的なものでない限りは、そこそこの効果は期待できますので、家庭裁判所に聞いて、履行命令の申し立てをすることも検討してみましょう。

金銭的なものの滞納であれば、履行命令をするよりも、履行勧告をして効果がなければ強制執行手続を取ることも検討しましょう。

ちなみに、履行命令は数百円ですが手数料がかかります。

調停調書のデメリット

調停調書デメリットですが、なんといっても調停で合意したことがそのまま記載されていなかったり、ひどい場合だと抜けていて記載さえされないことがあります。

実際に、これからの分と過去の養育費の支払いが決まったにもかかわらず、これからの分の養育費の支払いしか書かれていないというお粗末極まりない調停調書ができた事例もあります。

もちろん、クレームは言えますが、裁判所は警察に負けず劣らずのお高くとまっている公務員組織です。間違いなど認めるわけがありません。

それどころか、面接交渉の調停が成立したにもかかわらず、調停調書が作成されなかったこともあります。ほんとありえないです。

こういう事態を防ぐためには、調停調書の原案をしっかり確認してください。

その他の調停調書のデメリットとして、色々細かく記載してくれない傾向があるということです。その細かいものの中には、自分にとってはすごく重要なものもあるかもしれません。

なので、最初から「この部分はもちろん調停調書に記載してくれるんですよね」と念を押しておきましょう。

他には、調停調書には当然法律に違反するようなことは書いてくれません。例えば「再婚はしないものとする」といったものがそうです。

法律に違反するのは当然記載してくれないにしても、裁判官によってはあまりに記載してくれないことが多すぎる場合もあります。

なので、調停調書が作成される際には十分注意してください。

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