調停調書と公正証書

調停調書とは、家庭裁判所などの裁判所で行われた調停がまとまった時にできる書類の事をいいます。離婚調停の場合にできるのが、離婚調停の調停調書です。

一方、公正証書とは、全国各地にある公証役場にいる公証人が作成する書類の事をいいます。

調停調書・公正証書ともに、私文書ではなく公文書です。

この、調停調書と公正証書ですが、離婚の時によく出てきますが、いったい何が違うのでしょうか?

調停調書と公正証書の違い

調停調書公正証書違いですが、上記のとおり書類の作成場所と作成人が違います。

とはいえ、その効果はかなりよく似ています。ただ、ここでいう公正証書とは強制執行認諾約款入り公正証書とします。

まず、養育費のようにはっきりと決まった金銭の支払いを滞納された時に、強制執行で差し押さえができるという点は、調停調書、公正証書とも同じです。

しかし、調停調書には履行勧告と履行命令という手続きを取ることができます。

たとえば、養育費の滞納でいきなり給料を差し押さえると、会社での立場が悪くなることもあります。そういう場合には、「払え」と言うわけですが、それを裁判所に申し立てて代わりに「払ってくださいね」と勧告してもらうことができます。これが履行勧告です。

この制度、なかなか使えます。なぜなら、あなたが「払え」と言うよりも、裁判所が「ちゃんと払ってくださいね」と言う方が精神的な圧力になるからです。おまけに費用もかかりませんし、基本的には電話や窓口で言えばいいだけです。

なので、調停調書の方は、いきなり強制執行するよりも履行勧告してもらいましょう。

次に履行命令ですが、履行命令とは、申し立てをして、「決まったことを守りなさい」と命令してもらう手続きのことをいいます。

もし、この履行命令に従わなかった場合には、10万円以下の過料を取られる場合があります。なので、一見履行命令はすばらしい制度のような気がします。

ですが、過料が申立人の手元に入ってくるわけではありません。

金銭的なものの場合であれば、もともとお金がないからこそ滞納しているというのが多いわけです。なので、過料なんか取られたらますますお金がなくなってしまうわけです。

ということで、金銭的なものの場合は、履行命令はあまり使える制度ではありません。
とはいえ、金銭的なものでない限りは、そこそこの効果は期待できますので、家庭裁判所に聞いて、履行命令の申し立てをすることも検討してみましょう。

ちなみに、履行命令は数百円ですが手数料がかかります。

調停調書と公正証書の違いは、細かく言わない限りはこれくらいです。
では、調停調書と公正証書はどっちがいいのでしょうか?

調停調書と公正証書はどっちがいいのか?

調停調書と公正証書はどっちが有利?どっちがいいのか?という点ですが、状況によりけりです。

まず、話し合いができなければ、合意をしてからでないと作成できない公正証書の作成はできません。公証人は、間に入って調整をしてくれないからです。なので、調停をせざるをえません。

もし、話し合いができるというのであれば、調停にするか協議にするかの選択肢ができます。そういうケースでは、調停調書と公正証書どちらがいいのか?という事ですが、判断するためにいい点悪い点を書きます。

結論から言うと、履行勧告や・履行命令ができる調停調書の方がいいに決まってます。とくに、子供との面接交渉を記載した調停調書なんかは、会わせてもらえなかった場合に履行勧告をしてもらうことができます。

しかし、調停調書が作成されるためには、離婚調停をする必要があります。1回で終わるという事はあまりないので、時間がかかります。

一方、公正証書は、合意さえすれば、公証人に作成してもらえばいいので、早いです。

さらに、調停調書では、複雑な事情などの特殊な条文を記載してくれることはほとんどないのに対し、公正証書では法律に違反していないことであれば、希望すれば比較的柔軟に記載してくれます。しかし、これは公証人の裁量によりけりです。

たとえば、「相手が悪くて離婚に至ったことを認める離婚の原因」なんかの記載もしてくれるかもしれません。公正証書の方が、調停調書より柔軟です。

もし、公証人がダメと言ったら、他の公証役場の公証人に聞けばOKという事もあります。ということで、離婚調停には管轄がありますが、公証役場はどこでもいいという利点もあります。

と書けば、公正証書もなかなかのものです。

最後は、費用です。離婚調停は1200円と切手代ででき、まとまれば調停調書もその金額でできます。

それに対し、公正証書は、記載内容や養育費等の金額によって公証人手数料という費用が変わってきます。2~4万円がほとんどですが、5万円以上かかるケースもそこそこあります。そして、安くても11000円はかかります。

という感じで調停調書の方が圧倒的に費用が安い。

結局のところ、これらの点を知っておいて、話し合いで何とかなるのか?という点をふまえつつ、どっちがいいのかということは個々の状況という事です。

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